東京都では、東京と他の地域が、それぞれの持つ力を合わせて、共に栄え、成長し、日本全体の持続的発展へとつなげていく「共存共栄」を目指しています。
そのために、東京都では、東京だけでなく他の地域の発展にも結びつく様々な施策に、各自治体と協力して取り組んでいます。その取組の一環として、全国の自治体へ直接訪問させていただき、東京都との連携や政策全般にわたる意見交換を積極的に行っています。

1月20日(月)に大阪府を訪問させていただきましたので、その様子をご紹介します。

東京から新幹線で2時間半弱で新大阪駅に到着しました。
新大阪駅で早速ミャクミャクのお出迎えがありました!01新大阪駅.JPG

まずは昼食のため、大阪駅へ移動します。
「うめきた」と呼ばれる大阪駅の北側エリアでは、現在、大規模な再開発事業「うめきたプロジェクト」が進行中です。
平成25(2013)年には、1期の再開発で複合商業施設「グランフロント大阪」が開業しています。
現在進行中の「うめきた2期」では『「みどり」と「イノベーション」の融合拠点』の形成に向け緑地も整備され、令和6(2024)年9月6日に2期エリアの先行まちびらきとして「うめきた公園」など一部エリアがオープンしました。
「大阪最後の一等地」とも言われる立地に開放感ある緑地!ということで非常に興味があったのですが、今回は時間がなく残念ながら立ち寄ることが出来ませんでした。。。
次回のお楽しみとします。

お昼は大阪らしいものを、ということで串カツの定食をいただきました。
揚げたての串カツは最高でした!

02串カツ.jpg

昼食後は、大阪メトロで大阪府庁の本館へ向かいました。
大阪府庁舎本館は、大阪府の三代目庁舎として大正15(1926)年に完成し、現役の都道府県本庁舎で最も古い建物です。
鉄筋コンクリート構造のモダニズム建築の先駆けとなった建物で、令和3(2021)年には、国の登録有形文化財(建造物)に正式に登録されました
この日は天気が良く青空に映える外観も素晴らしかったのですが、正面玄関を入ってすぐの中央吹抜ホールも大理石張りで歴史を感じられる素敵な空間でした。
また、大阪城の西側に位置しているため、窓から大阪城の天守閣が見えました。

▼壮大な大阪府庁舎本館▼
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▼正面玄関柱の装飾もとても美しいです。奥に見えるのは・・・▼04本館玄関.JPG

▼ミャクミャク軍団!▼05玄関ミャクミャク.JPG

大阪府庁舎本館は、現在、行事や式典に使われた大正ロマン漂う「正庁の間」が毎週金曜日に一般公開されているほか、大阪府「広報担当副知事」もずやんが内部を動画でも紹介しています。
大正ロマンや建築がお好きな方、必見です。

大阪府庁舎本館の魅力をもずやんが動画でご紹介:https://www.pref.osaka.lg.jp/o040080/otemaemachi/honkan-top/pr_project.html

さて、いよいよ意見交換です。
意見交換は、政策企画部企画室、商工労働部成長産業振興室、スマートシティ戦略部戦略推進室の皆様にご対応いただきました。
お忙しいところお時間をいただき誠にありがとうございました。

今回は、東京都が実施する連携事業をご紹介するとともに、大阪府が実施するスタートアップ支援庁外向けDX推進、そして「副首都ビジョン」「Beyond EXPO 2025」についてご説明いただき、意見交換を行いました。

【スタートアップ支援】
大阪府では、起業前の機運醸成から、走り始めのシード期、プレシード期、成長段階であるレイター期まで、スタートアップの成長段階に合わせて切れ目のない支援プログラムを実施しています。
大阪府独自の事業も実施していますが、大阪市や公益財団法人大阪産業局(※)と連携した事業も実施している点が特徴的です。
関係機関が一体となって、オール大阪で起業家を生み育てる環境を整備するとともに、スタートアップ・エコシステムの構築・拠点形成に取り組んでいます。

公益財団法人大阪産業局:https://www.obda.or.jp/
※大阪府の「大阪産業振興機構」と大阪市の「大阪都市型産業振興センター」を合併し創設した外郭団体

大阪市とともに実施している事業の1つに、スタートアップ支援拠点の「大阪イノベーションハブ」(OIH)があります。
大阪イノベーションハブは、再開発中の「うめきた」に平成25(2013)年に大阪市が開設し、大阪産業局が運営する、世界に挑戦する起業家や技術者が集まるイノベーション創出拠点です。
多様な人・企業の交流によるコミュニティの形成ビジネスプランの事業化サポートのほか、年間200回を超えるイベントの開催など、様々なプログラムでスタートアップの創出、大阪から世界への飛躍を支援しています。

大阪イノベーションハブ:https://www.innovation-osaka.jp/ja/oih/

令和2(2020)年には、大阪府・大阪市、京都府・京都市、兵庫県・神戸市の6自治体からなる「大阪・京都・ひょうご神戸コンソーシアム」を形成し、京阪神一体となって活動しています。
京阪神の強みは、大阪大学、京都大学、神戸大学といった国立大学や研究機関が集積しており、バイオ、ヘルスケア、ライフサイエンス等の分野を始めとした「研究開発型スタートアップ」いわゆる「ディープテック・スタートアップ」が多く生み出される環境である点です。
もちろんディープテック以外にも、ものづくりや情報通信等の様々な分野のスタートアップがあり、6自治体それぞれの多岐に渡る専門分野や強みを活かし、補完・連携することで、エコシステムを強化するとともに効果的な支援を展開しています。

STARTUP ECOSYSTEM KANSAI:https://www.starecokansai.com/

いよいよ今年4月に開幕する「2025年大阪・関西万博」は、スタートアップにとっても世界への飛躍に向けた絶好の機会です。万博に向けて多くのスタートアップを輩出するため、大阪府では令和4(2022)年度からスタートアップの創出に取り組んできました。
万博会場内ではグローバルスタートアップイベント「Global Startup EXPO 2025」を開催し、日本のスタートアップの魅力・価値を発信します。
「Global Staertup EXPO 2025」に向けた連携イベントとして、令和6(2024)年11月15日に大阪府主催で「DEEPTECH KANSAI-Countdown to Global Startup EXPO 2025 Event-」、11月26日には大阪市主催で「Hack Osaka 2024 ~Link Innovation to Our Future~」を開催しました。
大阪府・大阪市でグローバルなイベントを連携して開催し、海外からの人の呼び込みに取り組みました。海外のスタートアップや支援機関が大阪に来る絶好の機会となるイベントを活用し、万博へと生かせるグローバルなネットワークを構築してきたとのことです。
また、万博期間中、大阪府・大阪市が設置する大阪ヘルスケアパビリオン「リボーンチャレンジ」において、スタートアップによるヘルスケア分野とカーボンニュートラル分野の展示・出展を行います。
大阪から世界に活躍できるようなスタートアップの創出に向けて、引き続き支援を継続し、今後はスタートアップはもちろん、スタートアップを支援する支援機関など、「人材」に注力した施策を実施していくとのことです。

EXPO2025大阪ヘルスケアパビリオン「リボーンチャレンジ」:https://osaka2025.site/

【DX推進】
大阪府では、スマートシティ実現のため、「大阪広域データ連携基盤」ORDEN(オルデン、Osaka Regional Data Exchange Network)を令和3(2021)年度から整備しています。
ORDENに様々な官民データを集約し、多様な主体で利活用することで、民間・行政で新たなサービスを創出し、住民のQOL向上や大阪経済の活性化を目指しています。

ORDENは様々な取組に活用されており、その1つが、令和6(2024)年8月からサービスを開始した大阪総合行政ポータル「my door OSAKA(マイド・ア・おおさか)」です。利用者の方に親しみを持ってもらえるよう、とてもユニークなネーミングになりました。
「my door OSAKA(マイド・ア・おおさか)」は、マイナンバーまたはメールアドレスでIDを登録すると、個人に合わせた最適な行政情報・サービスが届く「個人向け」ポータルサイトとして活用できます。
主な機能は3つあり、1つ目は、これまで紙や郵送で住民に通知していた文書をデジタル化し、スマートフォンにお知らせが来る、デジタル通知
2つ目は、個人個人の属性や興味関心にマッチした行政情報が直接届く、おすすめ配信
つ目は、1つのIDで複数のデジタルサービスに繋がる、シングルサインオン。大阪府や府内市町村のデジタルサービスを連携し、「my door OSAKA(マイド・ア・おおさか)」にログインすれば、簡単な手間で別のデジタルサービスにもログインできるように整備を進めています。

個人に合わせた最適な情報発信によって本当に届いてほしい人に情報が届くようになり、住民の利便性が向上するとともに、オンライン化による事務作業や経費の削減の効果が見込まれます。
住民への通知や申請が必要な行政サービスは、大阪府より市町村の方が取扱いが多いため、今後、多くの府内市町村と一緒に「my door OSAKA(マイド・ア・おおさか)」を活用していくことが目標となります。
既に堺市では、保育所の利用申請や決定通知などのサービスを「my door OSAKA(マイド・ア・おおさか)」で開始しています。
今後、益々の活用の拡大が期待されます!

「my door OSAKA(マイド・ア・おおさか)」:https://portal.orden.pref.osaka.lg.jp/index.html

また大阪府では、府内市町村のDX推進のため、「大阪版デジタル人材シェアリング事業」に取り組んでいます。
大阪府が市町村に対して実施したアンケートによると、デジタル人材の不足が市町村のDX推進における1番の課題であるということです。特に規模の小さい自治体では、情報システム担当者が1人しかいない所謂1人情シスの状態にあったり、知識がない職員が情シス担当をせざるを得ない状態であったりと、大阪府に限らず全国的な課題でもあります。

そのため大阪府では、様々な専門分野の外部デジタル人材を市町村が共同で確保する「大阪版デジタル人材シェアリング事業」を実施しています。
大阪府と府内全市町村が参加する「大阪市町村スマートシティ推進連絡会議(GovTech大阪)」において、デジタル専門人材を確保する事業者を選定し、各市町村は事業者と直接契約して支援を受ける、という仕組みです。
本事業では市町村のニーズを踏まえた7プランの支援メニューを企画しており、支援を受ける市町村は必要なプランを選択することが出来ます。
支援メニューは、初めてDXに取り組むに当たって必要な基礎能力やサービスデザイン思考を身につける職員育成プランから、システム発注等の仕様書作成や費用精査の支援、システムの標準化や連携に向けた支援など、実務に沿ったプランまで幅広く用意されています。
来年度以降は、セキュリティポリシーや監査に関わる支援を更に充実させるなど、プランの増加も計画されているとのことです。
小規模自治体では、DX推進について何をどうしたらよいか検討することや、独自に事業者を選定すること自体が、通常業務の負担となるケースも多いと考えられます。本事業により予め支援メニューが示されることによって、DX推進に着手するまでの業務負担を軽減するとともに、進捗に応じた支援を受けることでDXの加速化につながると思いました。

【副首都ビジョン】【 Beyond EXPO 2025 ~万博後の大阪の未来に向けて~】
大阪府は、「副首都・大阪」を目指して、大阪市と一体になって取り組む中長期的な方向性を「副首都ビジョン」としてまとめています。
令和5(2023)年3月に公表した「副首都ビジョン【改訂版】」では、大阪が、平時の日本の成長、非常時の首都機能のバックアップを担う副首都として「東西二極の一極、さらに、複数の都市が日本の成長をけん引する新たな国の形」を先導していくために2050年代までの目標と戦略を設定しました。大阪が目指す副首都の姿を「経済」「バックアップ」「行政・政治」の3本柱で定義しています。

「経済」では、グローバルな経済成長を重視するとともに、経済産業のイノベーション・構造転換に向けた「チャレンジの後押し」と「暮らしやすさ、働きやすさ、楽しさ」を兼ね備えることが必要であるとしています。この理念のもと、「変革を先取りし、誰もがワクワクする都市」として、「国内外の若者や女性をはじめ多くの人の新たなチャレンジ」で成長を成し遂げ、「経済的ポテンシャル」向上を図ります。
「バックアップ」では、大阪自らの安全・危機管理機能の強化のうえに、経済面、行政・政治面でのバックアップ機能を強化し、非常時に日本を支える「バックアップ拠点」となることを目指します。
「行政・政治」では、府市一体の強化と京阪神の連携を強化するとともに、副首都推進の法整備の働きかけ等の取組により、「行政・政治的ポテンシャル」向上を図ります。大阪府は市との連携が強みであり、「副首都ビジョン」の推進だけでなく、様々な分野で既に大阪市と連携して事業に取り組んでいます。

「副首都ビジョン」は、東京都の「共存共栄」と理念が共通する部分も多く、それぞれのビジョン実現に向けた取組が日本全体の成長につながり、相互に協力できる部分で連携することで更に成長を加速化させることができれば、と思いました。

副首都ビジョンの推進:https://www.pref.osaka.lg.jp/o010010/fukushutosuishin/fukusyutobijon/index.html

また、大阪府は大阪市とともに、万博レガシーを継承した新たな成長戦略を策定することとしています。
万博を一過性のイベントで終わらせず、世界の課題解決に貢献し、未来社会を先導する大阪を実現させるために、万博のコンセプトである「未来社会の実験場」を具体化した「将来の大阪の姿」を明確化するとともに、その実現に向けた「大阪の成長戦略」を策定し、万博後速やかに取組をスタートさせることが必要になります。
どのように「将来の大阪の姿」を実現させていくか、府市が一体となって具体的な取組を検討していきます。

東京都でも、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を契機に成熟した都市として新たな進化を遂げるため、大会後のレガシーを見据えハード・ソフトの両面にわたり様々な取組を推進してきました。
大阪府においても、2025年大阪・関西万博を機に結集した世界の英知をレガシーとして進化させ、直面する課題の解決と、大阪の持続的な成長・発展を実現しよう、という非常に前向きで熱い思いが伝わってきました。

短い時間ではありましたが、大変充実した意見交換を行うことができました。
改めて御礼申し上げます。

意見交換の後は、万博関連の場所を2か所視察させていただきました。
まずは、大阪府庁の本館から大阪メトロで30分程移動し、大阪府咲洲庁舎へご案内いただきました。
咲洲庁舎は、ベイエリアに位置する高さ256.0m、地上55階・地下3階建て、愛称「さきしまコスモタワー」の超高層ビルです。

▼咲洲庁舎▼
06咲洲庁舎.jpg

咲洲庁舎50階の会議室にお邪魔すると窓からベイエリアが一望でき、遠くにうっすらと神戸も見えました。
そして対岸の夢洲には、4月に向け建設が進む万博会場が!
既に完成した万博会場のシンボルである木製の「大屋根リング」が見えます!

▼咲洲庁舎から見える万博会場▼07万博会場.JPG

さきしまコスモタワーは52階が展望台になっており、万博会場はもちろん、大阪市内まで360度のパノラマを楽しむことができるとのことです。
きっと夜景も素晴らしいと思いますので、足を運ばれてはいかがでしょうか。

咲洲庁舎に続いて、大阪メトロ夢洲駅を視察しました。
夢洲駅は万博に向け整備された新駅で、訪問日前日の令和6(2024)年1月19日に開業しました。
万博会場の最寄り駅ということもあり、近未来感のある内装やコンコースの広さ、自動改札機の数の多さがとても印象的でした。
コンコース壁面には縦約3メートル、横約55メートルの超大型デジタルサイネージが設置され、夢洲駅についての映像が流れていました。
自動改札機は、切符、交通系IC、クレジットカードのタッチ決済に対応可能なほか、「ウォークスルー型顔認証改札機」も設置されていました。

▼コンコースの超大型デジタルサイネージ▼
09デジタルサイネージ.JPG
▼自動改札機がずらりと並びます▼
10自動改札機.jpg▼顔認証の実証実験中です▼11自動改札機2.JPG

▼駅の出口です▼
12出口.JPG


出口は、どことなくテーマパークの最寄り駅を彷彿とさせる雰囲気があります。
エスカレーターで上がって出口から出ると、すぐに工事中の万博会場が少しだけ見えます。

▼夢洲駅の外観です▼
13夢洲駅.JPG▼万博会場の入場ゲートが見えました▼
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万博会場は工事中のため入ることはできませんが、夢洲駅の開業翌日ということもあり、駅自体を見るために大勢の方が訪れていました。
駅の出口前で写真を撮ったり、工事フェンス越しの万博会場を眺めたりされていて、万博への期待感、ワクワク感が伝わってくるとともに、いよいよ万博が迫ってきているという実感が高まりました。

今回の訪問は、意見交換、現地視察ともに大変有意義な訪問となりました。
お忙しい中ご対応いただきましたこと、重ねて御礼申し上げます。

東京都は、全国各地との共存共栄を目指し、引き続き幅広い分野で連携を進めていきます。
次回の訪問レポートもお楽しみに!